2011/6/28 火曜日

『クルクル天気』

小森陽一日記 11:34:38

先週の水曜日、再び上京した。福岡は30度を越す曇天、東京は30度を越すドピーカン、溶けそうなくらいの暑さだ……。ホテルに飛び込み、すぐにシャワーを浴びてさっぱり。人心地ついたところでROBOTの安藤Pに会う。「海猿」ファンならばアンチカの名称でご存知だろう。アンチカさんとは時々会って談笑する。博多でコーヒー焼酎飲み過ぎて、フラフラになりながらカラオケで歌いまくる姿は壮絶だった。この日はお互いにお尻が決まっていたので、再会を約束し、2時間ほど話をして別れた。
夜はTBSのNさん、Oさん等と食事。すごく景色のいい場所で料理も美味しかった……筈なのだが、話に夢中でよく覚えていない。それぐらい集中して色んな話をした。こちらも実に心地良い時間だった。

木曜日、帰りの飛行機は久し振りにかなりの揺れだった。機長さんの話によると、気圧の谷を通過している為だと言う。収まっては揺れ、揺れては収まりの繰り返しで博多上空までやって来た。着陸態勢に入ったので機内のスクリーンでその様子を眺めていると、滑走路の右端に黒い影がある。光の具合でスクリーンに影が出来ているのかと思ったが、どのスクリーンにも同じような影が見える。なんだろうと思っていると、途端にドッと滝のような雨が落ちて来た。グラグラと機体が揺れる。左は晴れているのに右はドシャ降り、そう、あの影はゲリラ豪雨だったのだ。

金曜日は晴れたり曇ったり雨が降ったりと目まぐるしい天気だった。台風5号の接近により、異様な蒸し暑さが全身をねっとりと包む。そんな中、心臓の手術をした親父の見舞いに佐世保へと車を走らせた。ペースメーカーを埋め込んだのだが、術後の経過も順調ですこぶる元気だった。なによりだ。電子機器なので色々と生活面で注意する事はあるようだが、それを補って余りあるほど元気が取り戻せればそれに越した事はない。

土曜日は雨。雷を伴って時折激しく降る。マイの散歩はその隙を狙うようにして小走りだった。落ち着いて用を足せない事に恨みがましい目を向けてくる。でも仕方がないだろ! 雨なんだから! 

日曜日は娘の音楽発表会。出る時は曇り空だったが、3時間ほどの発表会を終えて外に出ると、台風の接近で猛烈な雨風が吹いている。通りに出てタクシーを拾いに行く最中、身体ごと持っていかれそうな強風が吹いて傘が裏返しになった。骨はすっかり折れ曲がり、もはや使い物にはならない……。気に入って長く使ってた傘がこんな風にダメになるとは。そんな気持ちを察してか、妻と娘が新しい傘を買って来てくれた。値段300円とちょっと。コンビニのビニ傘より安い……。

以上、クルクル天気に乗せての日記風レポートでした。

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2011/6/21 火曜日

『交流戦V』

小森陽一日記 11:02:37

2011年の日本生命セ・パ交流戦、ソフトバンクホークスが優勝を決めた。終ってみればセリーグ全球団に勝ち越し、18勝4敗2分けの交流戦史上最高勝率818!これはもう驚愕の数字だ。この数字を叩き出せたのは監督やコーチの采配、選手の頑張り、裏方さん達の献身的な支えがある。もちろん補強の影響もあるだろうし、日頃パ・リーグで日本代表格のエース達と凌ぎを削っているからこそのレベルアップもあろう。しかし、今年はそこにもうひとつ付け加えたい事がある。それはチーム力だ。

ナゴヤドームでドラゴンズ相手に優勝を決めた晩、ポンちゃんこと本多選手が多村選手のユニフォームを持ってグラウンドにいた。怪我でその場にいない多村選手のユニフォームがそこにあった事に、チーム愛を感じて胸が熱くなった。その事をポンちゃんにメールすると、こんな言葉が返って来た。
「多村さんが僕に託してくれました!みんなで勝ち取りましたから」
みんなで勝ち取った優勝―――。その姿と言葉にかつてのWBC優勝の瞬間を思い出した。

2009年、韓国との激闘を制し5対3で勝利し、連続優勝を遂げた日本、そのグラウンドには高々と背番号25のユニフォームを掲げる男がいた。太腿の負傷で戦列を離れる事になった村田選手、その魂は内川選手によってグラウンドにもたらされていた。あの光景を見た時、このチームが凄まじい逆境を跳ね返して勝ったワケが分った気がした。

あれから3年、内川選手はホークスの一員に加わった。現在、パ・リーグ最高打率を誇る3番バッターとして、交流戦MVPに最も近いのではないかと思われる。WBCの光景が脳裏に刻まれた僕にとって、内川選手の加入は本当に嬉しい出来事だった。……だが、土・日の横浜戦、心無いファンから浴びせられるブーイングは醜いものだった。あんなにひどいブーイングを聞いたのは久し振りのような気がする。確かに応援しているチームの選手が相手チームのユニフォームを着ている事に違和感を覚える心情を否定はしない。長年、熱い声援を送って来た相手であればなおさらそうだ。それは分る。僕も同じような経験をしているから。内川選手も横浜で深く愛されていた。あのブーイングはその裏返しだろうと思う。思うようにしている。しかし、横浜のオーナーの発言だけはいただけない。
「内川を痛めつけて(交流戦を)終わりたい」
あんな言葉、トップの者が言うべきものでは決してない。断じてだ。

個で闘い、和で闘う。
ホークスは今、そのような状態にあると思う。そこにいない選手のユニフォームを掲げる男達のいるチーム、ファンはますます魅かれ、巻き込まれ、大きなうねりを作る。週末からはいよいよリーグ戦が再開される。内川選手、みそぎ禊は済みました。これからはさらに思う存分暴れて下さい。あなたの事を心底応援していた横浜のファンは、いつまでもあなたの背中に声援を送る筈だから。そうだよね、ポンちゃん。

2011/6/14 火曜日

『風邪をひいた時の過ごし方』

小森陽一日記 15:05:54

咽がヒリヒリと痛む。唾を飲み込む度に顔をしかめるくらい咽が痛い。会見から帰って来て咽の調子が悪くなった。一度収まりかけたが、また週末ぶり返してしまった。どうやら時期外れ風邪のようだ……。こんな時にと思うが、周りを見ると体調を崩している人も案外多い。梅雨、湿気、気温の高低差でやられるんだろう。ま、こんな時はジタバタしても始まらない。机を離れてソファに座り、リラックスして溜まったDVDでも観よう。

知らないと言うと「エーッ!?」と驚かれた。そして必ず「これは絶対観た方がいいですよ」と付け加えられる。中々他人の作品を褒めない、僕の事もこの数年間で一度くらいしか褒めた事のない小学館の担当Kくんですら、「これは外したらいかんでしょう!」と言う。その乾いた微笑みの向こうには、物書きのクセにそんなもんも知らんのか!ドアホ!!という嘲笑がもちろん透けて見えていた。だから僕はこっそりアマゾン南米でDVDを取り寄せ、固め観する機会を伺っていたのだ。

「装甲騎兵ボトムズ」、1983年~84年に掛けて放送されたサンライズ制作のアニメーションである。もちろん存在を知ってはいたが一度も観た事はなかった。
実を言うとガンダムファースト、イデオンで打ち止め、それ以後サンライズの作品は続けて観た事がない。特にファーストガンダムが好き過ぎて、それを超える作品はもうない、いや、そんな作品とは出会いたくないという複雑なファン心理が働いた結果だ。

さてボトムズ、正直作品世界の暗さに驚いた。とにかく主人公のキリコが笑わない。クメン編あたりから少しずつ明るさめいたものを見せるようになるが、それでも他の主人公に比べたら焼け石に水だ。そしてひたすら戦闘が繰り返される。前回も戦闘、今回も戦闘、次回も戦闘。戦闘、戦闘、戦闘……。こんな物語がよくも出来たものだと感心するくらい。今じゃここまでのハードテイストは中々成立しないように思う。かえすがえす80年代のアニメは熱かったなぁ。

そんな事を思いつつ作品を観続けていたら、とうとう熱が出て来た。身体の節も痛い。この感じは実に久し振りだ。あ~あ、どうやら本格的に風邪をひいたらしい。
ボトムズの続きはまた今度、今夜は早仕舞いして寝ます……。

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2011/6/7 火曜日

『禁ビール』

小森陽一日記 11:26:56

6月2日、東宝スタジオにて「DOG×POLICE」のクランクアップ報告会見が行なわれた。僕も監督やキャストの皆さんに混じって登壇した訳だが……、実はこの日から遡る事10日、あるささやかな抵抗を試みていた。ダイエットだ。

隼人くんや恵梨香ちゃんと撮ったスナップ写真を見て、家族は遠慮なしにガーガー言う。体型がひどいとか顔の大きさが違うとか腹出過ぎとか……。
「役者の隣に並んで見ろ! どれほどの拷問か分る筈だ!!」
そうは反論するものの、やはり一人でデジカメを眺めていると……確かに哀しいものがある。

半年ほど前、禁ビールを20日くらいやった。それだけで3㎏弱の無駄な肉が落ちた。
(俺は肉が付くのも早いが落ちるのもまた早い)
もう一度それをやろう。まだ会見当日まで10日ある。食卓に一度は並べたビールを、飲んだつもりになって冷蔵庫に戻した。

だが、結果は見事惨敗。禁ビールの誓いは守ったのだが、30日に行なったとあるイベント打ち合わせの集りと、会見前夜のフランス料理、集英社Tさん、Aくん、脚本家の大石さん、そして佐藤・下田両Pの前で「ビールじゃなかったらいいよね」とみんなに、なにより自分に言い訳して、ガツガツと料理を食べクビグビとワインを飲んだのがいけなかった……。当日の朝、体重計に乗ったら10日前より増量……。私バカよね~、おバカさんよね~。このフレーズはまさに自分の為にある。

―――などと下らない事を書いたが、会見はとてもいい雰囲気の中で行われた。何よりラストの特設ドッグランで見せた隼人くんとシロの「親和」、隼人くんの指示通りにキレ味するどく動くシロを見て、マスコミの皆さんがどよめいていたのがとても印象的だった。そうなのだ、カットで仲良く見える様に誤魔化して撮ったのではなく、本当に数ヶ月を共にして絆を結んだからこそ滲み出るリアリティーがそこにはある。嘘偽り無いホンモノ感をマスコミの皆さんには存分に味わっていただけたと思うし、それはスクリーンで観る皆さんにも絶対に伝わるものと思う。期待して待っていて下さい!

最後に写真を一枚。警視庁の警備犬チームより差し入れされた役名入りの焼酎です。僕も以前頂いたんだが、飲み口が爽やかで実にいける。あっという間に空っぽになってしまった。そんなサプライズのプレゼントを写メする佐藤P、それを僕が後から撮って、そのまた後から特典映像用のビデオカメラが回っておりました。さすがディレクターのKくん、色んなところを押さえてるなぁ。

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