2012/8/28 火曜日

『ほんの僅かに秋の気配』

小森陽一日記 14:27:17

八月もいよいよラストの週、良い子達は宿題終ったかな? それとも大慌てでラストスパートかな? 一方、酔い子達は相も変わらずネオン街を彷徨い歩いている。飛んで火に入る夏の虫。……でも、秋は確実に来ている。夜、庭に出てみると、ひっそりと虫の声がする。どんな時でも季節は巡る。

そんな虫の声に誘われたせいでもないが、娘のクラリネットを吹いてみた。もちろん音は出せる。その昔、サックスなんぞをやった時期もあったから。でも、低音は出せるけど高音は難しい。唇の端から空気が漏れる。力入れ過ぎてちょっと酸欠気味になり、頭がクラクラした……。そんな僕を尻目に流暢に曲を弾き出す娘が恨めしい。負けず嫌いなので……。

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話は変わって――宮城県から彼の人がやって来た。Aさん。「我が名は海師」執筆時、僕や武村勇治が散々お世話になり、「トッキュー!!」でも久保ミツロウに様々な事をレクチャーしてくれた。3.11の大震災で仕事場と家を流され、奥さんと一緒に自宅の屋根に乗って漂流し、奇跡としかいいようがない生還をした人……。詳しくは僕の昨年のブログ、3月の欄をご覧いただきたい。
Aさんは今、本業であるサルヴェージの仕事の傍ら、津波で被災した経験を語り伝える活動をされている。今回もその一環での来福だった。話はもっぱらこれからの事。こんな事がしたい、あんな事がやってみたい、前のめりになって話をした。丁度待ち合わせ場所が博多駅だったので、二人でT-JOYを覗いて見た。封切直後の「放課後ミッドナイターズ」、大看板に二人で大笑いした。そう言えばキュンストレーキ、ギョロリと大きな目がちょっとAさんに似てるかも……。「また来年の一月に来ます」という言葉と共に握手をして別れる。楽しみに待ってますよ!

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最後に……皆さんこのオレンジ、知ってます? とってもウザいんです。何かの番組で見て以来、忘れられなくなりました。おちょくり方が低レべルで、しつこさが半端じゃない。う~ん、まるで自分を見ているような……。気になる方は「ウザいオレンジ」で検索してみてください。あたなのハートをイラッとさせつつ虜にするかもしれません。

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2012/8/21 火曜日

『ワイセツブツチンレツザイ』

小森陽一日記 13:10:15

逮捕だ逮捕! 街の目抜き通りを大挙してズル剥け軍団が練り歩く。内臓までおっぴろげだもんね。ゾンビも真っ青、いやはや、物凄い時代になったもんだ。

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いよいよ今週末公開です。「放課後ミッドナイターズ」。上映館の関係で皆さんのところまで津々浦々……という訳にはいかないのが残念ですが、何卒よろしくお願いします。

これ、書いたのは4年近く前になるのかな。竹清くんが脚本を書いて欲しいって依頼してきて、それから色んな打ち合わせをしてね。最初書いたのはもっと泣けるテイストだった。人体模型が転校生の女の子に足長おじさんをするっていう感じの。でも、初監督作品で人を泣かせる話はハードルが高いかな……って事になって、それから今の感じに軌道修正していって。悪乗りして色んなアイディア机の上に広げて、それをパズルみたいに組み立てて。そして一枚のイメージイラストを見た時、「これ、いいな」って感じたのをよく覚えてる。
それから紆余曲折あってついに公開に漕ぎ着けた。プロデューサーを始め、監督、CGチーム、宣伝の皆さん、沢山の人の執念です。本当に。後は結果だけ。どうか皆さんの力でこの作品を更に大きく育ててやって下さい!

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最後に主題歌を唄ってくれているねごとの皆さんと監督、そしてズル剥け軍団のスナップを一つ。気持ちいいくらいの盛り上がりでした。落ち着いたらまたみんなで乾杯しよう。

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やつれ果てていた竹清くんにユンケルを差し入れしたのが、一本では到底効くまい。残りもガンガン飲んで――ラストまで突っ走れ、監督!!

2012/8/16 木曜日

『残暑お見舞い申し上げます』

小森陽一日記 13:25:27

……ロンドンの焼けるような熱戦も終った。暦ではもう秋。しかし、全然暑さが収まらない。ジリッジリ。クマゼミもいつもの夏より日焼けしてるように見える。ほんとに暑い。日中のみならず夜も。消耗してます、はい……。

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立て続けの四連発だった打ち合わせも無事終了した。何の打ち合わせをしてるのか、今の時点ではお伝え出来ない事ばかりだが、半年後、一年後、数年後には皆さんの前にお披露目されているものばかり。時々言うが、僕の仕事は誰よりも早く始めて、誰よりも早く終る。ワーッとお祭騒ぎになっている時は全く違う事をやっている。乗り切れないもどかしさ。これって時々モーレツに寂しい時がある……。でもね、皆さんが観てくれたり、読んでくれたり、泣いたり笑ったりしているのを見ると、それが力になる。栄養になる。踏ん張りになる。だから、次に進めてる。感謝してます。小森作品、これからもどうか楽しみに待っていてください。

15日、義母の初盆もつつがなく行なわれた。義父宅でお坊さんにお経をあげてもらった後、馴染みのお寿司屋さんで会食。身近な親戚が集って義母を偲んだ。このお店のお座敷で、活きのいいお刺身を食べながらお酒をたしなんでいた義母の姿ははっきりと目に焼き付いている。きっと笑ってこの光景を見ていた事だろう。

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さて、八月も後半だ。今年もあと四ヶ月ちょっと。もういっぺんギア入れ直して走りますか!

2012/8/7 火曜日

『人の心を打つ言葉』

小森陽一日記 10:38:28

人の心を打つ言葉っていい。偉い人だけのものじゃないところがまたいい。古今東西、老若男女関係なく、言葉あるところには必ず人の心を打つ言葉が生まれる。それがいい。

オリンピックも半分が過ぎた。日本選手は本当に頑張っている。だから、こっちは自然と寝不足だ……。だが、そんなぼんやり頭を冴えさせる言葉が聞こえて来る。
競泳男子400Mリレー、終った直後に記者からインタビューを受けた松田選手の言葉には泣かされた。
「(北島)康介さんを手ぶらで(日本に)帰す訳にはいかない」
この言葉を聞いた後、もう一度レースをリプレイで見た時、思わず込み上げて来るものがあった。どんな想いで腕を掻き、足を振っていたのかが伝わって来る。あぁ、最高のチーム力だ。

ロンドンに絶対王者としてやって来た体操男子の内村選手。しかし、団体戦ではミスを連発し何度も首を傾げた。しかし、その悔しさを直ぐにエネルギーに変えるところが王者たる所以だ。個人総合ではさも当たり前のように金メダルを取った。その後に出た言葉がこれだ。
「今回は神様が僕に試練を与えたんじゃないかと思う」
金メダルに一番近いと言われた男に驕りがあったか。だから神様が試練を与えたのか。こんな言葉をさらりと言ってのける内村選手に僕は風格すら感じた。

女子柔道78㎏超級の杉本選手。惜しくも決勝でキューバの選手に敗れて銀メダルとなった。しかし、杉本選手の見せた姿、闘う前、そして闘い終り畳みを降りる時も、必ず深々とお辞儀をする。あの全身から発せられる清々しいものに、僕は言葉と同じ様に心を打たれた。本当に素晴らしいと感じた。日本柔道の精神はなんて綺麗なんだろうと思った。

言葉はまだまだある。オリンピックだけでもたっぷりある。しかし、それをガシガシ書き出すと本業に支障を来たす。だからこの辺でやめておこう。

最後に一つ、このお方のお言葉を。「ウルトラマンエース」の宿敵、ヤプール様だ。エースのメタリウム光線を受けて絶命する間際、
「ヤプール死すとも超獣死なず。怨念となって必ず復讐せり!」
と叫んだ。どっかで聞いた事のあるような言葉だが、子供心に強烈に耳に残った。恨めしやぁ~。

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追記
一週間ほど前から煙草を吸い始めた。え、禁煙してたんじゃなかったのって?
いえいえ一度も禁煙なんて言ってません。
「冬眠から目覚めただけです」
これって誰の心も打たない、よな……。

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