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GORT
巨大魚怪獣 ムルチ二代目
Chapter of  ULTRAMAN ACE 〜MURUCHIU〜
第7話 『怪獣対超獣対宇宙人』
第8話 『太陽の命! エースの命!』より 巨大魚怪獣 ムルチ二代目
 


これほどまでに『噛ませ犬』『当て馬』『引き立て役』という言葉が似あう存在もいないでしょう。出自も語られず(突然、戦闘の場にノコノコ現れてきたという感じ)、大した活躍もせず(たまたまウルトラマンエースを挟み撃ちにするポジションにいたという感じ)、ウルトラシリーズきっての残酷な殺戮(怪獣は超獣にはまったく歯が立たないという証明)を受けてはいオシマイ。登場してものの5分ほどでコレって、あまりといえばあまりな扱いです。しかもですよ、本来ならこの役はシーゴラスが予定されていたそうです。なんらかの理由で使えなかったから代役として白羽の矢が立ったというから、不運さは半端ありません。新マンでは11月の傑作群の代表格として、強烈なエピソードと相まって僕等の記憶に深く刻み込まれたムルチだというのに、僅か一年後にはこんな悲惨な運命が待っていたなんて……。でもですよ、ちゃんと救いの神はおりました。ゴート杉本氏――いや、ここはもう杉本神とお呼び致しましょう。ともすると細身で弱々しく見えるムルチをどっしりと、がっしりと重みのある風にアレンジして、深い皺や鋭い背びれ、のっぺりとした鮭顔には繊細な凹凸とモールドが施されています。悲惨な役回りだったムルチ二代目にこれほど溢れんばかりの怪獣愛を注げる人は他にはいません。いや、決して大袈裟なんかではありませんよ。確かにこのキットには特別な慈愛が満ちています。



彩色は初代ムルチの再現を目指しました。いつものようにフラットブラックから始め、シーブルー、フィールドブルー、ミディアムブルーと段階的に彩度を上げていきます。このままだと少しのっぺりした感じになりますから筆で艦艇色を描き込んでいきます。時には濃く、時には薄く。この辺りのサジ加減は自分の好みですね。ムルチの身体には明るい青と暗い青、二種類の斑紋があります。初代ムルチは夜間や雨中の戦闘シーンなのではっきりと斑紋が見えず、また泥がついて汚れてしまっているのでなおさら判別出来ません。たまたま手元にムルチの着ぐるみを造型している資料写真がありましたので、それを見ながらアプローチしました。初代ムルチが仕上がったら、ここからは大胆にシルバーを加えて二代目に変化させていきます。シルバーは強烈な消しゴムです。それまでの色をすべて消し去るので乗せるのはなかなか勇気のいる行為ですが、躊躇なく塗り込みます。シルバーだけでは表現が固くなるので、Mr.カラーの308番のグレーも併せて使っていきました。白くてギラギラした感じになったところで二代目の完成です。



仕上がったムルチ二代目を眺めてあらためて思いました。もう少し活躍させてほしかったと。この存在感、決して噛ませ犬じゃないですよ。願わくば怪獣の代表としてドラゴリーとの死闘を演じて欲しかったものです。いいところまで善戦したと思いますよ。









全高 パーツ数 付属品 原型師
345mm
(ヒレの突端まで)
15点 ミニTAC隊員 杉本 浩二