第12話 『ミイラの叫び』より ミイラ怪獣 ドドンゴ
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:013
 

下水道から浄水場へと追い込まれたミイラ人間は、確かに空を見つめて何かを訴えるように吼えていた…………。アラシのスパイダーショットを浴びて絶命するミイラ人間。その時、断末魔の声を聞きつけて、発掘現場側の岩山から突然ドドンゴが姿を現した。まるで暴れ馬のように猛り狂うドドンゴは、鉄橋に体当たりをかまし、目から黄色い破壊光線を発射して、採石場を炎上させる。ドドンゴの進行方向、それはミイラ人間の亡骸がある東京である…………。





Jr.シリーズの中でも最大級の大きさを誇るドドンゴ。両の翼を広げて、俯き加減に前方を睨むポーズが実に猛々しく表現されている。全身を覆う炎のような黄金の毛並みも、今にも飛びかかろうとするかのような足の曲がり具合も、とても丁寧で見事な出来栄えとなっている。Jr.シリーズをコレクションするのならば、なくてはならない一品だと言える。それほどこのドドンゴはカッコイイのである。
さて、ご存知の通りドドンゴのモチーフは、中国の伝説の獣、麒麟である。日本人ならばキリンビールのマークと言った方が馴染み深いと思う。広辞苑を紐解くと、そこにはこう書かれている。『形は鹿に似て大きく、尾は牛に、蹄は馬に似、背毛は五彩で毛は黄色。頭上に肉に包まれた角がある』。ドドンゴはこの麒麟をベースに黄金の翼を与えられ、さらに美しく表現された。だが、当初この話に出て来る怪獣は、ドドンゴのような麒麟型の怪獣ではなかった。
『7000年の眠り』と題された初稿の台本には、骨と皮だけのおぞましい姿、身体を収縮させて相手に向けて骨を飛ばし、口から有毒のガスを吐き出すと描かれている。確かにミイラ人間の相棒には、そちらの方がしっくりとくるかもしれない。いかなる変遷を経て我々が知っているドドンゴに落ち着いたのか、今となっては知る由もない。デザインの成田氏、造形の高山氏は共に鬼籍に入られてしまったのだから…………。だが、ドドンゴは両氏のコラボレーションが生み出した傑作の一体に数えて間違いない。ドドンゴを生み出してくれた両氏に深く感謝したい。

全高 重量 材質 原型
220mm 455g ウレタン樹脂 川岸 敬厳