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第8話 『怪獣無法地帯』より 髑髏怪獣 レッドキング
VOLKS ORIENT HERO SERIES NO:11
 


これまでに作った数々のキットの中で、完成まで最も時間を要する事になった。発売から28年という歳月が生み出した歪み。温めようが削ろうが、どう頑張ってもパーツが噛み合わない。そして凄まじいまでのバリの多さと、抜きの甘さからくるモールドの潰れ。さらには油が混ぜてあるのではと疑いたくなるほどの、超強力な離型剤の油膜。いくら洗っても一向にヌルヌルが消えない。ダメ押しは初のキャスト注入。中空とムクのパーツ割の為、全身の安定感がひどく悪い。がっしりと安定させるようボディにキャストを流し込んだ訳だが……ひび割れが。キャストが固まる時に熱を放って、パテ埋めした箇所を歪ませたようだ。メキッ、ボキッと音を立ててひびが入っていくのを目の当たりにした時、もう絶句するしかなかった。それら難関を一つ一つ乗り越え、再び成型してパテ埋めし、全身を白い下地一色にした時は感動すら覚えた。「これでやっと塗れる!」。だが、さすがは怪獣王と言わしめるだけの存在だ。そんなに甘くはなかった。これはブログにも触れたのだが、成田・高山コンビが作り上げた初代レッドキングは、レッドと言いつつ全身が白銀に輝く美しい怪獣であったそうだ。よって、まずはその再現を目指した。聞きしに勝る美しさとはこの事かと思うほど、白銀のレッドキングは圧倒的な威風を湛えていた。正直、ここでヤメルのもありかなと思ったくらいだ。だが、見惚れてばかりではいられない。ここから御馴染みの体色を目指して塗り進める。しかし、黄土色と空色のトーンが中々決まらず四苦八苦するハメになった。現場のスタッフが白銀の上からスプレーを吹き付けて塗ったというツートンカラーの体色。写真や映像を見ると結構いい加減な塗りである。しかもこの色の組み合わせははっきりいってよろしくない。食べ物でいうところの食い合わせがまったくダメなのだ。しっくりくるまでに至ったのは、塗り始めて四日目くらいだ。ちょっとイヤになるくらい時間が掛かった。
しかしその甲斐はあった。出来上がったレッドキングはどこからどう眺めても素晴らしいものになった。決して自分の塗りがという訳ではない。大石氏の造形力が産み出す力、並々ならぬ気迫が乗り移ったカタチから放たれる存在感は、どこに置いても人の目を奪うだろう。それほどの輝きを放っている。これは間違いなく一生モンの宝だ。



全高 重量 材質 原型師
350mm 2.6s
(キャスト注入により増量)
ウレタン樹脂 大石 武司