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かなめみお
変幻怪獣 キングマイマイ(幼獣)
Chapter of Return of ULTRAMAN 〜KINGMAIMAI〜
第32話 『落日の決闘』より 変幻怪獣 キングマイマイ(幼獣)
怪々大行進 NO:086
 
実は成獣より幼獣推しだったりする。いかんせん本編での幼獣は相手にお尻を向けてオナラ攻撃をしたり、空へと弾き飛ばされた上野隊員が持っていた爆弾を落として片腕がもげたりと散々な扱いなのだが、デザインというかこの形が好きなのだ。前傾姿勢の構え、蛇腹のお腹、シンプルな体色は初期ウルトラ怪獣のスタンダードである。特徴はディロフォサウルスのようなトサカ頭、ハサミのような手足、細かい棘が全身にびっしりと生えている。まるでサボテンのようだ。新マン怪獣ではお馴染みのつぶらな瞳は踏襲されてはいるものの、斜に構えているからイイ感じの不敵な面構えに見える。いつかは幼獣のキットが出ないものかと心待ちにしていたが、やっぱりこの人が造ってくれた。そう、森下要氏だ。要さんは先に挙げた幼獣の特徴を完璧に網羅しているのみならず、破損の心配や、増やしてディテールアップする為にトゲパーツを付属で付けてくれている。なんという心遣い。要さんもおそらく幼獣好きだと思う。そうでないとここまでのことはしない筈だ。

塗装に入る前に幼獣の映像やスチール写真をチェックする。青っぽい紫っぽい体色の奥に赤茶色がちらほらと見える。一番下の皮膚が明るくて、一番上が暗いという海外のクリーチャーパターンだ。以前、アクロのゴモラを作った時、ベースに明るい茶色を塗って、その上から色を足していった。完成形はそれなりに狙った感じにはなったものの、いつも以上に手が込んで大変だった。(またあれをやるのか……)とナーバスになりつつも、やれば仕上がり具合がグッとアップするのも分かっている。



ベースには艦艇色を使った。全身が赤茶色になった幼獣を眺めていると、(これでいいのか)と不安になる。次にブリビアスブルーをガシガシとブラッシングして表面に乗せていく。青紫になるだけでなく、光沢がかかってテカテカと輝く幼獣に、ますます不安が増していく。更に全身の深い皺の部分にブラウンを筆塗り。もはや、着ぐるみの幼獣とは似ても似つかない色彩になって、しばらく棚に置いたまま見て見ぬふりをした。(それではいかん)と反転攻勢である。シーブルーをエアブラシで吹いて全身を落ち着かせ、ブルーエンジェルスカラーを筆塗りで置いていく。背中にある緑色の斑紋を描き、最後に大きな瞳を描き込む。瞳の色は黒・赤・黄色・白を使って立体的に見えるようにした。仕上げにエアブラシでしっかりと艶消しを吹いて完成。どことなく茶色っぽい、でも青くも紫にも感じる幼獣になったと思うがいかがだろうか。



あらためて思うが、閃いたら試してみること。そして、投げ出さずに最後までやり切ること。この二つは『大事』という一語で繋がっている。おそらくこれはなんにでも当てはまるのではないか。趣味だからといい加減にしないで、趣味だからこそこだわって続けていきたい。そう思うこの頃である。











全高 パーツ数 付属品 原型師
320mm 16点 トゲパーツ 森下 要