第19話 『悪魔はふたたび』より 赤色火焔怪獣 バニラ 
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ビル工事現場から発見された太古のカプセルには、金属板と青い液体が入っていた。金属板は福山博士が、青い液体は鉱物試験場の石岡博士がそれぞれ持ち帰って分析する事になった。だが、カプセルはもう一つあった。土砂と一緒にダンプカーで造成地に運ばれるカプセル。その中には赤い液体が入っていた。その夜、東京は激しい雷雨に見舞われる。雷が赤い液体を直撃した刹那、爆発とともに赤い怪獣バニラが姿を現した。

バニラの鳴き声。どこかで耳にした事があると思っていたら、第12話『ミイラの叫び』に登場したドドンゴと同じだった。「キュイーン」とか「キュオーン」と言う甲高い声。全体的な印象はまったく異なるが、ドドンゴとバニラの鼻の形は実によく似ている。三角形で上向きの鼻、ドドンゴとバニラの鳴き声が同じなのは案外そのせいかもしれない。  バニラを作る過程で驚かされたのは四方に開く口と複雑な形をした背中、そして木の根のように変形した尻尾である。タツノオトシゴをモチーフとして誕生した赤い怪獣バニラ。その名を聞けばすぐにでも全身像を思い浮かべきれる。そう思っていたが、それはただの幻想だったようだ。仮組み(個々のパーツに真鍮線を通して全体の形を確認する事)をしてバニラをじっくりと眺めた時、その口や背中や尻尾の形状をとても新鮮な気持ちで見る事ができた。要するに僕はバニラの事を知っているつもりになっていただけなのだった。アボラスとバニラはまるで引き合うかのように進撃し、ついに国立競技場で合間見える。スタジアムの中で死等を繰り広げる二大怪獣は、まるでローマの剣闘士のようである。アラシの放った原子弾に目を打ち抜かれたバニラ、ひるんだ所にアボラスの溶解液を浴び、ついに長年の決着に終止符が打たれたのだった―――。     アボラス同様、バニラの原型も川岸氏が担当している。完成した二体を向き合わせてみると、案の定、劇中の興奮が蘇る。川岸氏は互いに睨み合うアボラスとバニラのバランスを考慮してポーズの決定を行っている。二体を同じ原型師が作らければこうはうまく表現されなかった筈だ。ボークスの粋な計らいに感謝である。




全高 重量 材質 原型
185mm 196g ウレタン樹脂 川岸 敬厳