第27話 『206便消滅す』より 四次元怪獣 トドラ
VOLKS JUNIOR ULTRA Q WORLD NO:010
 






ウルトラQではしばしば客演が行われる。ゴメス、リトラ、ゴロー、パゴス………。鱗を足したり首を挿げ替えられたりはしているが、これらはすべて東宝からの貸し出しで実現した怪獣達である。このトドラもそう、1962年公開の「妖星ゴラス」に登場した怪獣マグマを、僅かに塗装をやり変えただけでそのまま流用したものだ。巨匠、円谷英二あってこその事だとは思うが、なんともまぁ大らかな時代である。原型を作った畑中氏もインストの中で触れている通り、トドラの後足の形状は霧に隠されてはっきりしない。しかし上記した通りトドラは客演だ。製作するにあたってマグマを参考にされた事は想像が付く。こういう利点は客演ならではのものだろう。
さて、トドラの製作で困ったのはキットの状態が非常に悪いという事だった。これまでに手にしたキット中、1、2を争う惨さだったと思う。気泡や段差のひどいパーティングラインは言うに及ばず、背中からお尻にかけて直径5cmほどの大きな丸い穴が空いていた。この穴にパテを埋め込み、違和感が出ないように背中の形状を整えて行く。GKを初めて間もない頃に訪れた最初の苦難だった………。
手元にある資料の中に一枚だけトドラのカラー写真がある。塗装はそれを参考に行った。
背中はブラウン系、お腹はベージュ、それぞれが馴染むようにドライブラシを施した。胸には所々に黒い斑点がある。それを忘れずに書き込んで、最後に濡れた感じを表現する為、全身にクリヤーを吹いた。髭は自作、太さの異なる真鍮線を植え込んである。と言っても、これでもまだ太すぎだ………。


全高 全長 重量 原型
75mm 150mm 140g 畑中 正義