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おまんたワールド
大ぐも タランチュラ
Chapter of ULTRAQ 〜TARANTULA〜
第9話 『クモ男爵』より 大ぐも タランチュラ
 


世の中に幾つかある苦手なものの中でもかなり上位に食い込むのがある。クモだ。益虫であることは当然ながら承知している。しかし、理屈と感情が合致しないのは世の常なるもの。クモ嫌いになったのは幼少体験に依るところが大きい。つまりはトラウマだ。二つある。一つは昆虫採集しに(おもにカブトムシ・クワガタムシ)山を巡っていた時。大きな木と木の間をすり抜けた時、全身にべったりと粘りつく糸がかかった。クモの巣だった。ちゃんと見ていなかったこっちも悪いが、側道の枝葉ならいざ知らず、山道を右から左へと跨ぐように巣を張るのもどうかと思う。僕の背中を大きなジョロウグモが二匹這い廻り、「早く取ってくれ!」と大声を出すが、友達はしばし遠巻きに眺めていた。後で問い質すと、あまりの事で気が動転したんだそうだ。さて、どうだか……。僕はガキ大将だったから、日頃の腹いせを晴らしてやろうという気分があったように思う。まぁ、仕方ないけど(苦笑)もう一つは夜、寝ている時に起こった。何かが顔の辺りをがさごそと這い廻る。違和感で目が覚めた。電気をつけると、僕が寝ていた枕元にはバカでかいタカアシグモがいる!こいつがさっきまで顔の上を這い廻っていたのかと思うと、全身にこれでもかというくらいの鳥肌が立った。つまり僕はこの二つの体験を未だに払拭出来ずにいる。





すっかり前置きが長くなった。本題のタランチュラに話しを移そう。キットはおまんたワールド、原型は高垣利信氏である。どうしてまたタランチュラを30cmサイズで造ろうと思われたのか、正確なところは分からない。ただ、高垣さんは「ウルトラQ」をこよなく愛しているから、タランチュラにもひとかたならぬ想いがあったのかもしれない。それが証拠に八本ある足の取りつけ場所は定められていない。作り手の感性でタランチュラの動きを自由に表現してくれという願いが込められている。全身を覆う毛の表現は呆れるくらいの丁寧さで造型されており、目は網目入りの透明パーツというこだわり様だ。更にはサブタイルト「クモ男爵」のプレートまで付属という至れり尽くせりのまさに決定版である。クモは嫌いだが、ウルトラQの世界をコンプリートする為にはと我慢して買った。今回はそれが役に立った。





彩色したのはkaz氏である。円谷イマジネイションにて展開しているコモリプロジェクトのデジタルジオラマ「ウルトラQ」編の為である。なぜタランチュラをkaz氏に託したのかと云えば、上記の通り言い訳がましく綴ったトラウマのせいだ。おそらくトラウマの無いkaz氏はというと制作にこだわった。塗装が剥がれる事を避ける為、金属パイプを挿して空中に浮いた状態を作り出す。そのパイプが空洞であるのを利用して電飾を仕込む。タランチュラの目が赤く、しかも時間差で点滅する様子を見た時は驚いた。挙句にプレートは特殊な塗装法でクモの巣を表現するという熱の入れ様。いやはや、流石過ぎて唖然としてしまった。詳しい事はkaz氏のHPに解説してあるのでご覧いただきたい。

kaz氏HP クモ男爵 (doumeki.com)



仕上がったタランチュラを見て合成の山口さんのテンションも爆上がりした。ついにはクモが馬を襲うなんてとんでもシーンを作ってしまった……。二人とも僕のトラウマが疼く事など何も思ってはいないようだ。ド迫力のデジタルジオラマは円谷イマジネイションにて無料でご覧いただける。ぜひぜひ。







全長 重量 パーツ数 付属品
165mm 700g 13点 目の透明パーツ
サブタイトルプレート
原型師      
高垣 利信