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第47話 『あなたはだあれ?』より 集団宇宙人 フック星人  
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:113
 

午前2時――。1万5千人が暮らす梟団地の路上にタクシーが停車する。5−1に住むサラリーマンの佐藤氏が気持ち良く酔ってのご帰還である。呼び鈴を鳴らすと暫らくしてドアが開く。「ただいま……」。妻の眼前にお土産を突き出す佐藤氏。ここまではいつもと変わらない光景。だが、今宵はここからが違っていた。「あなた、誰ですか?」10年連れ添った妻敏江の感情のない一言。続いて現れた息子の一郎からも「このオジさん、誰」と突き放される。困惑する佐藤氏。その姿を物陰から見ている奇怪な影。三体のフック星人が闇に紛れて近づいていた――――。



異常な電波の発信源を突きとめる為、ダンとフルハシ隊員は梟団地に張り込んでいた。深夜を回った頃、ダンの眼は異様な光景を捉える。マンモス団地の棟々が機械的正確さで回転し、横滑りしながら音もなく動き出したのだ。僅かな時間の中で地上と地下の建物がそっくりと入れ替わってしまうという大胆な構図。まったくの無音の中で展開するこの描写は実にシュールで、密かな宇宙からの侵略行為をやけにリアルに感じさせてくれる。第47話を見てから後、夜の団地を通ると奇妙な感覚に襲われた方も多いのでないだろうか。さて、物語が決まって真夜中に動き出すのは訳がある。フック星人は夜行性なのだ。退化してしまったのか、フック星人には眼にあたる部分が見当たらない。それどころか口もない。一見眼や口に見える部分は、顔面に刻まれた無数の皺が集まってできた擬態である。ギーギーと金属的な金切り声を上げ、必ず三体一組で近づいて来るフック星人。唯一進化したと思われる巨大な耳が主張するかのように、光を発しているのが面白い。フック星人の原型はJr.ウルトラワールド初参加の杉本氏である。マニア諸兄ならば当然馴染みのあるガッツポーズのフック星人が、見事なバランスでまとめあげてられている。塗装にはさほど煩わされなかったのだが、一転、手足と身体の透明パーツには泣かされた。一点モノなので損なう訳にはいかず、パーツの成型をするためにカッターを持つ手が何度もブルブルと震えたものである…………。

全高 重量 材質 原型
160mm 100g ウレタン樹脂 杉本 浩二