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イーグルクラフト
戦車怪獣 恐竜戦車
Chapter of ULTRASEVEN 〜DINOSAUR TANK〜
第28話 『700キロを突っ走れ!!』より 戦車怪獣 恐竜戦車
 


元来、ガレージキットとは手強いものである。あらためてそれを教えてくれた。昨今のキットは懇切丁寧で、組むのにほとんどストレスを感じない。パーツ同士はピタッと合うし、パーティングラインが存在しないもの、洗浄せずに済むなんて驚きのものまである。昭和の創世記からキットに触れている身からすれば、本当に隔世の思いだ。この恐竜戦車はイーグルクラフトから発売された。原型は南田哲郎氏。厳つい顔にはどこか可愛げがあり、身体は戦車を押し潰してしまいそうなほどボリュームがある。もちろんムクだからすこぶる重い。先頃、令和改訂版として電飾などに対応したキットが発売されたようだが、僕が持っているのは平成版である。しかも、上記した通りかなり難がある。土台となる戦車を使うのは早々に諦めた。キャタピラが折れてしまってどうにもならないからだ。付属の主砲なども曲がったり欠けたりして使えない。同じタミヤの61式戦車に変更した。なんといっても我がメンバーにはマスターJこと土井眞一氏がいる。土井さんが戦車や航空機を作ると、居並ぶモデラーの巨人達が「〜んんん、凄い!」と絶賛するのを何度も見てきた。お願いすると、二つ返事で請け負ってくれ、当然の如く仕上がりは申し分がない。よって僕は上物の恐竜に専念する。さて、キットをじっくり眺めると、歯が無数に欠けている。デカい気泡から小さい気泡までがあちこちにある。ついには尻尾の先が(5cmほど)失われている。歯は爪楊枝の先で対応し、気泡は根気よくパテで埋めていった。無くなった尻尾の先は画像や写真を見ながら整形ではなく造型した。そう言えば昔のガレージキットってこんな感じだったよなぁと久し振りの感覚を味わいながら。要するにこれだけ手間をかけさられてもまったく苦にならない。これがキット好きたる由縁であろう。









塗装はいつものようにガイアノーツの艶消し黒をベースにする。そこからミスターカラーのジャーマングレー(40)で色合いを変化させた。恐竜は単色なので簡単だと思われがちだが、いやいや、単色ほど難しいものはない。誤魔化しがきかないのと、実は単色であって単色ではないからだ。資料をじっくり見ながらミッドナイトブルー(71)、土地色(522)、赤褐色(131)などを筆で塗り込んでいく。そうする事で表情や身体に立体感が生まれる。ただ、今回はあまり繊細な細工はせず、大胆に塗る事に徹した。本編の恐竜戦車は赤土のような平原を縦横無尽に走り回る。いつしか全身には埃が付着し、元の色がよく分からないほど霞んでしまう。仕上げにはこの表現が欠かせないと分かっていたからだ。エナメルのデザートイエロー(XF59)やガイアノーツの埃(55)を濃い目に塗ってはテイッシュで拭き取る。凸は掠れ、凹には色が堪る。それを続けると、やがて平原を走り回るあの恐竜戦車の姿が浮かび上がってきた。












手間のかかる子ほど可愛いという言葉があるが(それも良し悪しだと思うけれど)、まさしくそんな感じ。昭和の時代から難物キットに触れてきた僕には、もしかすると令和改訂版は物足りなく感じたかもしれない。なんてね……(苦笑)








全長 重量 パーツ数 付属品
520mm 2250g 6点(恐竜部分のみ) なし (戦車部分はすべてタミヤ製のプラモデルを使用)
原型師      
南田 哲郎