2012/11/20 火曜日

『鍋、鍋、また鍋』

小森陽一日記 11:07:45

季節がまた一歩進んだ。北海道は雪、北陸は時雨、東京でも最高気温が10度くらいまでしか上がらない日も出てきた。もちろん福岡も寒い。昼間は温かくても、夕方から急激に冷え込んでくる。だからって訳じゃないけど、最近やたらと鍋物を食べてる気がする。

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こっちでは水炊きやもつ鍋が有名なのだが、実のところ僕はそれほどの鍋好きじゃない。もちろん嫌いじゃない。ただ、一週間の内、一度でも鍋を食わなかったら身体に変調をきたすほどではない。普通に好きだ。ただ、立て続けに続くとやはり困る。

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ここんとこ、色んな人に会っている。ホークスの元キャプテン、小久保さん。レベルファイブの社長、日野さん、お笑い芸人の大吉くん。異業種であっても、いや、異業種だからこそ、互いに通じたり刺激を受けたりする。食べたり飲んだりしつつ語り合う。そこにはよく鍋がある。

極めつけはこの人だ。藤堂くんが家族で遊びに来た。聞けば自分の誕生日だと言う。忙しい中、風邪もひいているのに、わざわざ我が家を行き先に選択するとは……。
やっぱり嬉しいもんだ。だからという訳じゃないが、藤堂家のリクエストにしっかりとお答えして水炊きを食べに行った。

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鍋は温まる。気兼ねしない仲間と食べるのは最高だ。同じ鍋をつつくと親近感が一気に増す気がする。でも続くとツライ。正直に白状すると、あの鶏肉の皮が……プルプルの食感が苦手なのだ。なにあれ、プルプル……。ダメだ、思い出しただけでも食欲が失せる。コラーゲンなんかいらんし!

2012/11/13 火曜日

『銀色の翼』

小森陽一日記 10:25:54

何層もの青と降り注ぐ太陽の光の中を……おーっ、飛んでる――っ!! 

航空自衛隊築城基地へ再び向かった。前回は見学、しかし今回は――搭乗する為だ。
正直、乗る前は緊張していた。団司令や幹部の皆さんと一緒に昼食を取ったのだが、あまり食べれなかった。カレーを見てやっぱりアレを思う。ゲロ吐いたらどうしようって……。実をいうと僕は船酔いがひどい。海モノの大家なんて言われていたけど、船に乗ると一発でふらふらになる。何が大家だ……ってな醜態をいつも晒していた。だから、空もそうなるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていた。

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救命装備室で飛行服に着替え、その上にGスーツを着けてもらう。中世のコルセットかと言いたくなるくらい、ベルトをぐいぐい締められる。それくらい締めておかなければ、全身にGが掛かった時に耐えられないのだそうだ。うへぇ……どんな世界なんだよ……。ここで更に心配が増した。

ブリーフィングを受け、僕を空へと導いてくれる堀2佐と一緒にアウトハンガーへ向かった。そこに待っていたのは銀色の翼、F-15Jだ。デカイ、スゴイ、カッコイイ。ほんとにこんなのに乗ってこれから空に上がるのか……。もはやプレッシャーはマックスだ。担当者曰く、この時の僕の笑顔は相当ぎこちなく、青褪めていたそうだ。

F-15Jが滑走路を走る。あっと言う間に機体が浮き上がり、堀2佐の「上がりますよ」という声を合図に機体が一気に上を向く。アフターバーナー点火。仰向けの状態でそのまま空へぶっ飛んだ。在り得ない角度で雲をつき抜け、やがて真っ青な世界が現れた。

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最高速度マッハ1.2、最高高度5万フィート、最大Gは8。三機でのドッグファイトまで体験し、1時間40分のフライトを終えた。最高だった。心配していた空酔いもなく、失神する事もなかった。ひたすらコクピットの中からパイロットだけが見る事の出来る空中世界を堪能した。

着陸後、僕の顔は別人だと思えるくらい晴々としていたそうだ。そして、堀2佐から褒め言葉を貰った。右、左、上、下、そして計器。いろんなものをちゃんと見ていたという事。そして平気な顔で全ての訓練に付き合えた事。いやいや、堀さんの操縦が素晴らしかったからです。本当に。

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色んな取材をしてきたが、この体験は確実にトップ3ものだ。それを与えて下さった沢山の皆さんに感謝しつつ、体験した事を全て作品にぶち込みたい。
あ~、でもあの疾走感が忘れられん。もう一度乗れる機会があったら乗りたいなぁ。……とさり気なくオーダーしてます。はい。

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2012/11/6 火曜日

『再び松風苑へ』

小森陽一日記 11:26:44

前回訪れたのが2009年の9月だから、2年ちょっと振りという事になる。沖縄の松風苑を再び訪れた。「ウルトラマン」の小説を書き上げた事を、金城家の皆さんと、そして金城哲夫さんの墓前でようやくご報告する事が出来た。

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沖縄は暖かかった。上着は早々に脱いで半袖一枚になる。大学で講演中の桜井さんや他のメンバーを待ちつつ、円谷プロのKさんと目下、県内の眼科で辣腕を揮っているTさんと共に、Tさんの行きつけのお店で魚をつまみに昼酒を飲む。オリオンビール、ウマイ! 昼酒サイコー!!

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やがてドシャ降りの雨が降り出し、洪水警報が発令される。が、何のその。みんなで松風苑を訪れる。夕食を取りつつ金城さんの弟の和夫さん、息子の京一郎さんに小説が完成した事を告げると、労いの言葉を掛けられた。「哲夫はほんとうに喜んでるよ」と。ここで危うく涙腺が崩壊しそうになり、そそくさと退席して待合場に煙草を吸いに出る。しかし、そこの壁には金城さんの写真が飾ってあり、もはや猛烈に込み上げてくるものは避けられなかった……。

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2年前に金城さんのお墓に向かって「書きます」とお伝えした。そしてようやく「書き上がりました」と報告する事が出来た。素直に嬉しい。一つの区切りになった。でも、本番はこれからだ。大きく映像化されて世界が広がるよう、天国に向かってしっかりとお願いしてきた。来年、銀色の巨人が飛び立ちますように。  

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2012/10/30 火曜日

『濡れ落ち葉』

小森陽一日記 11:58:46

すっかり冷え込んで来た。今週は最低気温が一桁台になるところが多いとか。朝、散歩をしていると落ち葉が濡れているのが目に付くようになった。いよいよ日本列島も秋深しだ。

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ここんとこずっと格闘していた小説を脱稿した。これから加筆、修正はあるが、大きな山は越えた。という事で美味しいものを食べに行く。ストイックな部分もあるが、甘くもある。そんな私。

数年前に知人の紹介で知り合った酒造メーカーの社長さんから、福岡で食事会を開くから是非にと招かれた。食事会などという格調の高い場所は苦手だが、ここのお酒は大好きなので結局行く。春鹿という銘柄の日本酒。奈良にある。淡麗辛口、通好みの感じだが、これが美味い。日頃あまり日本酒は口にしない。しかし、春鹿だけは時折買って飲む。四十名ほどの皆さんと美味しい料理を口にしながら、色んなタイプの春鹿を飲む。う~ん至福。でも、実を言うとこの時はまだ小説のラストに「終」と書き込む手前だった。微妙にブレーキが掛かる自分が哀しい……。

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さて、話しはガラリと変わってこれ、「スターウォーズ/クローンウォーズ」。ようやく最新のシーズン4が発売された。待ってたんだよなぁ。毎回、恐ろしく展開が早いからちょっと目を離すと話しについていけなくなる。という事で万難を排し、一気にまとめ観。……でも、気付いたら寝てた。書き上がった事から来る安心感までは排せなかったようだ。いいや、もう一回最初から観よう。

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季節も進む。仕事も進む。歳も取る。あれだけ緑色だった葉っぱも色を変え、落ちる。同じように人もまた変わる。一つとして同じものは無い。しかし、変わりつつも、願わくば良きように変わりたい。

2012/10/23 火曜日

『え……もう、「にじいろジーン」すか?』

小森陽一日記 10:01:59

朝は大体7時から7時半起き。娘を送り出して嫁さんと朝食を食べる。観ているのはこの前まで「梅ちゃん先生」。今は「純と愛」。そのまんま「あさイチ」に移行。しばらくしたらワンコの散歩に出掛ける。ほぼこのパターンで日々が過ぎて行く。  それが「にじいろジーン」に変わった時、なんか焦る。
「え……もう一週間経ったの?」

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あっと言う間の一週間。それでも色んな事が起ってはいる。まず、「S」の担当Kくんがやって来た。なんで来たの? よく分からない。多分、他の用事のついで。しゃらっと打ち合わせ。刈り上げた頭がよほど怖かったのか、家のワンコは中々近寄ろうとしなかった。うん、お前の判断は正しい。

晩御飯はKくん共々日頃お世話になっている方々と一緒にとった。刺身を摘みながら色んな話しで盛り上がる。でも、落ち着く先は大体僕の話し。昔の作品は読めたもんじゃなかったとか、今は多少なりともマシになったとか。褒められては落とされ、落とされては上げられる。ジェットコースターより酷い。

夜9時以降は酒は我慢。酒を飲んで寝不足になると、翌日、確実に仕事のペースが落ちる。さすがに今、それは出来ない。
「よ、責任感が服をきた男!」
そんなフレーズを自分に言い聞かせつつ、耐える。 

娘が突然、アジのムニエルを作ると言い出した。ほんとにやれるのかと思って眺めていたら、なかなかの手捌きでアジを三枚に下ろした。内臓を洗い出し、骨を獲り出し、塩と胡椒と小麦粉と卵をまぶして油で焼く。仕上げはマヨネーズとケチャップのソース。美味い! 酒の摘まみにぴったりだ。
でも、今は思いっ切り飲めない……。
仕事が一段落したらまた作ってくれとお願いする。まさか、娘に料理をねだる日が来るとは思わなかった。

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「にじいろジーン」から「にじいろジーン」。振り返ってみるとやっぱり色んな事がある。

追記
コラムを始めた。スカパーの会報誌「ヨムミル!」だ。大学時代の友人Oくんが二十年振りに仕事を頼んで来た。なんたって二十年振りだ。これはもう受けない訳にはいくまい。という事で11月号から載る。スカパーご契約の皆さん、今後ともどうぞよろしくお願いします。

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