2011/12/27 火曜日

『サヨナラ……』

小森陽一日記 11:15:14

21日、義母が天国に旅立った。死因は肝不全。最近、元気になって来たという矢先の出来事だった……。

義母は僕の作品に一番多く触れた人だった。出版された本や公開された映画はもちろん、未発売の小説まですべて読んでくれた。そして必ず、褒めてくれた。僕はそれが嬉しくて、まだ推敲もしていない作品まで渡していた。随分と読み辛かっただろうと思うが、それでも褒めてくれた。しかし、「DOG×POLICE」の小説はとうとう読めず仕舞いだった。だから、向こうで楽しんで貰おうとゲラを棺に納めた。

義母さん、今まで色々ありがとうございました。どうかこれからの作品も愉しみに待っていて下さい。

2011年、振り返ると喜びよりも辛い事や悲しい事が多かった。夏には父親の心臓の手術、マイも大きな手術をやった。妻も内臓の病気でしばらく入院した。そして義母が逝ってしまった。さらには3.11の大震災で沢山の人が亡くなった。そんな年だった……。

しかし、年はもうすぐ変わる。ここを区切りとして、来年は喜びの多い年になればと願う。自分にも、そして皆さんにも、来年が幸多い年でありますように―――。

2011/12/20 火曜日

『ラストスパート』

小森陽一日記 11:18:22

4年か5年振りに小学館の謝恩会に出た。パーティには進んで足が出る方ではないのだが、たまには思い切って色んな方々と話をするのもまたヨロシ。という訳で、今回のテーマは「沢山の人に会って一言でも言葉を交す」事。大御所、ビッグネーム、異業種、様々な方のテーブルに飛び込み、言葉を交わす事が出来た。創作のプロセスや取材の仕方、果ては酒の飲み方まで色んな話題をやり取りする。ベストと思っている方法の先にまだ別のやり方があったり、自分ではまだまだだと思っている事が、周りからは凄くベストに見えていたり……。いやはや、実に刺激的な時間でした。三時半まで飲んじゃった……。

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翌日は打ち合わせや忘年会。これまでなかなか訪れるタイミングが合わなかったROBOTにようやく潜入。アンチカPの案内で会社の隅々まで見て回る。皆さん、突然お騒がせいたしました。お弁当を食べてる女の子達が、恥かしそうにはにかむ様子がとても可愛かった。さて、僕的には「海猿4」の編集作業以上に、「ジュブナイル」に登場したテトラの模型に猛烈に心がトキメキました! 
「アンチカP、これ一つ欲しい……」

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その後、集英社文芸で新作の打ち合わせ。「DOG×POLICE」でお世話になった皆さんにご挨拶をし、来年もまた宜しくお願いします宣言をする。Aくん、Tさん、まだまだ励みますよ! 地に足付けていいものを書いていきたい。

その夜は「S」の忘年会。新婚の藤堂くんを始め、担当Kくん、お世話になった方々にお集まりいただき、今年一年のお礼と来年の頑張りを誓いつつ、食べる。飲む。座が温まった頃合で、額にきちんと納められた神御蔵の画を藤堂君が皆さんにプレゼント。一瞬シーンとした……。ほんとに感動してくれたなぁ。僕は端っこにちょこちょこっとサインを入れる。面汚しならぬ画汚しになってないといいんだけど……。

さらに翌日は防衛省へ!ジャーナリストのIさんに案内していただき、日本の防衛の心臓部へと足を踏み入れた。いやぁ、デッカイ! まず素直にそう思った。建物も敷地も何もかも。なんだか日本であって日本でないような、実に不思議な空間だった。

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振り返って考えると、僕は自衛隊の皆さんときちんとお話をするのはこれが初めてかもしれない。話の内容もさる事ながら、自衛隊の皆さんの風貌が強く印象に残った。お忙しい中、取材のご協力をありがとうございました!

さて、次回のブログで今年も終りになる。そう考えると年の瀬も押し迫ったように感じる。いや、実際押し迫っている。なのに……、仕事がまったく終っとらん!! お歳暮はようやく終ったが、大掃除も年賀状も何もしとらん!! なんか毎年同じ事を言ってるよなぁ……。つくづく進歩がありません。焦ってもしょうがない、淡々といきますか。ね。

2011/12/13 火曜日

『今年も後半月』

小森陽一日記 10:05:40

なんでこう毎年毎年師走ってのは忙しいのかな? なんでなんですかね、誰か教えて欲しい!

淡路島から戻って中一日、今度は広島へ赴いた。お世話になった元海上保安官の大御所(大ボスと言った方がしっくりくるかな)と、中国新聞主催での対談だった。
この方から依頼をされたら断われません! それくらいの人なのです。

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以前にも触れた事があるかもしれないが、Kさん、「海猿」はこの方がいなかったら書けなかった。海保の気質、船の運航から仕事内容、取材の根回し、新聞記者の皆さんとの飲み会などなど……、あらゆる場面でお世話になった。単行本の最初の方で煙草を止めた警備課の御仁が出て来るが、さり気なくこのKさんがモデルである。

「泊まれ!」と厳命されたので泊まりました。秘書の方や新聞記者の皆さん方と食事し、色んな話を伺いながら飲みました。広島の夜、そう言えば3月にもここで「DOG~」の面々とご飯食べたっけ……。今年は広島に随分お世話になったなぁ。
行き帰りの新幹線の中で、新しい小説のプロット作り。やる事はちゃんとやってます。でも、途中で寝たけどね……。

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話は変わってその週の夜、アニメ映画のT監督やスタッフと久し振りに会った。もうネットに公表されているみたいなので触れてもいいか。

『放課後MIDNIGHTERS』
数年前からゴソゴソやっていたが、いよいよ2012年公開と相成りました! 来年は「海猿4」もあるしこれもあるし、それからゴニョゴニョ……。色々と慌しくなりそうだ。

左足の靭帯を手術したマイ、週末にはギブスもエリマキ(エリザベスカラーの事)も外れ、ようやくすっきりだったのに……。手術痕とは違う別の部分の切り傷を気にして舐めまわし、またまた化膿させてエリマキに逆戻り。己は何をしとるんじゃい! また病院通いだ……。

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そんなこんなでクリスマスの飾り付け。皆さんのお宅ではとっくに終えられたでしょうか? 早く道具を出せ、出せって言われ、物置から降ろし、やっとこ昨夜やり始めました。でも、僕が飾ると娘が来て「センスないっ!」って怒るんだよね……。はいはい、どうぞ好きなようにご自由に。

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なんて言う感じで本日より年内最後の上京をして参ります。その話はまた次回にでも―――。

2011/12/6 火曜日

『トードーくん、年貢を納める』

小森陽一日記 11:04:21

トードーくんが結婚した。由緒正しい場所で結婚式を挙げ、立派に披露宴をやった。あのトードーくんが、だ。あの、トードーくんが、である!!

12月3日は列島を発達した低気圧が駆け抜け、大層な悪天候になった。そんな中、東と西から両家ゆかりの方々が淡路島へと集った。うちは家族ごと召集された。Yさんと博多駅で落ち合い、横殴りの雨の中、大移動を敢行。三ノ宮からは担当Kとも合流し、高速バスで島へと渡った。

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宿に入って暫くすると、再びマイクロバスに乗せられて暗い夜道をどこかに連れていかれた。それにしても淡路島は暗い。ほんとに暗い。夜は暗いという事をあらためて思い起こさせられた。
ついた場所は路地裏の料亭。そこに前日入りした面々が一同に介し、淡路島の魚を堪能した。この人は誰です、何してる人ですという紹介など一言もなく、ひたすら食って飲んでだんだん出来上がっていく。
「今日で十分や。もう明日はいらんやろ」
そんなセリフも飛び出すくらい、いい感じの前夜祭だった。

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さて、翌日は一転、日本晴れとなった。昨夜遅く合流したプロデューサーのS氏曰く、
「トードーくん、持ってる運を使い果たしたな……」
って……。全員苦笑。それくらい抜けるような青空になった。
結婚式は「日本書紀」や「古事記」で知られる国産み、神産みの男神、伊弉諸いざなぎを祭った伊弉諸いざなぎ神宮にて行なわれた。僕は場所柄はわきまえる人間である。神妙な面持ちで式の進行を見つめていた。宮司さんが語り、巫女さんが舞い踊る。さすがは伊弉諸いざなぎ神宮……、感心して眺めていたのに、当の新郎はあっちキョロキョロ、こっちキョロキョロ、終いには僕等の方を見てドヤ顔をかます始末……。神様、いいんですかね、こんな男で……。たまにバチ当てて下さいませ。

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午後からは宿に戻って披露宴。僕等の席はど真ん前のセンターに用意され、しかも僕はその一番先頭。円卓だったのでひな壇にはお尻を向けて座る事になる。なんとも失礼極まりない場所だったのだが、テーブルに置かれた名前の裏をめくると、ばっちり似ている似顔絵とコメントが……。それが全員分ある。素晴らしい心遣いにすっかり嬉しくなって席の事を忘れていると、担当Kは渋い顔。だよな、原稿に注ぐべき筈の労力をこんなところで使っていたのだから……。キビシィねぇ……。0004.jpg

面食らったのは宴が始まって一等最初に僕の出番が来た事。述べましたよ、代表で祝辞を。トードーくんの為に口から言葉を捻り出しましたよ。ちょっとは感激してくれたかい?
いやいや、感激したのはむしろ僕の方でした。「由良COLORS」のモデルとなった面々が一同に介し、Yさんが余興で爆裂し、トードーくんと奥さんが両親の前でまさかの熱唱、そして――トードーくんのお父さんのラストスピーチ、あのキャラで全部もっていかれました。

いやはや本当に楽しくて、生涯記憶に残り続ける結婚式でした。
トードーくん、奥さんのRさん、どうかいつまでもお幸せに!!!!!

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