2009/8/11 火曜日

『初ビッグ』

小森陽一日記 11:41:22

ビッグコミックという雑誌の印象を述べると、『大人』、『ゴルゴ』、『安定感』と言ったところになる。小学館の看板雑誌の一つである事に異論を持つ人はいないだろう。いつかはビッグで書いてみたい、………ぼんやりとそんな思いはあったが、まさかこんなに早く機会が巡って来ようとは想像もしていなかった。
『S 最後の警官』
これが僕の初ビッグ作品となる。

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当初連載は違うテイストのものを考えていた。あるプロボクサーが警視庁の始めた新制度を受け、警察官に転向するという話。言うなれば『ボクサー警官』だ。担当のKくんが温めていた話で、「やりませんか?」と声を掛けられたのがきっかけだった。そこに僕自身が元々やりたかった警察の特殊部隊を軸とした話を合体させた。「S」は二つの要素の美味しいところをブレンドする形で誕生したのだ。

描き手である藤堂くんの事を少し書こうと思う。どこにでも自転車でやって来る髪の短いアンチャン、口を開くと出る関西弁がまた実に良く似合う。そんな藤堂くんを編集部で紹介され、一緒にご飯を食べに行った。そして鍋をつついていると、
「こんなん描いて来たんですけど………」
そう言ってファイルから紙の束を取り出した。そこには様々なキャラが思いのままに描き散らかされていた。僕は主人公の神御蔵を見た瞬間、ピーン!と来た。理屈抜きに「これ、いい!」と思った。いいと感じるものは理屈じゃない。あの感じはこの先も忘れる事はないだろう。

藤堂くんの力を借りて誰も読んだ事のない物語を作りたいと思っている。ようやくスタートしたばかりだがすでに手応えはある。半年後、1年後、この先ずっと語り継がれていくような作品を目指したい。

皆さん、どうぞ宜しくお願いします!!

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