2007/7/17 火曜日

『洋上の鋼城』

小森陽一日記 17:55:06

白く霞んだ新潟県岩船沖の洋上に、突如デッカイ建造物が現れる。岩船沖油ガス田の洋上プラットフォーム、これが今回の取材のターゲットだ――――。  

今年はやけに新潟に縁がある。1月、まだ寒風吹きすさぶ中、「トッキュー!!」の取材で訪れたのを皮切りに、先月は着衣泳研究会に招かれ長岡技術大学で講演をやった。そして今回が三度目、「海師」の取材である。漫画家の武村くん、担当のKくん、そして日本海洋石油資源開発のIさんと一緒に新潟空港からヘリに搭乗、海上を移動する事約10分で洋上プラットフォームが見えて来る。まるで鋼の城を思わせるプラットフォームに旋回しながらゆっくりと接近するヘリの中で、「機動警察パトレーバー」の映画版、「箱舟」と形容されていた巨大な構造物を思い起こしていた………。
 
ワクワクしながら城の中へ入る。だが、居住区は驚くほど当たり前の光景が広がっていた。作業員の部屋、風呂、トイレ、食堂に娯楽室、一通り見て回ったが、これまでに何度も見てきた船内の風景とまったく変らない。プラットフォームならではの特別な仕様などどこにも見当たらない。肩透かしを食ったような気持ちで階段を下りる。すると、目の前の光景は一変した。天井と床の区別がつかないほど剥き出しの鉄骨と配管が至る所を這い回り、ゴウゴウと凄まじい音を立てて可動している。そして目の前には海底に一直前に伸びるパイプの群………。
「このパイプで海底深くから油と天然ガスを吸い上げています」
「これが………」
解説するIさんの隣で僕はその光景を見つめる。さすがは日本最大と言うべき壮観なものだった――――。
もう一つ、ここが洋上プラットフォームだという事を思い知らされたのは、外階段を移動した時だ。文字通り四方八方が海、自分の立っている足元、鉄骨の隙間から海の青が透けて見える。軽く30~40mはあるから高所恐怖症だと足が竦むだろう。僕もあまり高い所は得意じゃない方なので、すこぶる景色のいい外階段を移動する時は、皆に悟られないようにへっぴり腰を隠していたほどだ。それを見透かされたのか、Iさんは言う。
「今日はべた凪ですけど冬の日本海は荒れますからね、その時はこのプラットフォームがグラグラ揺れるんです。海の上だから逃げ場はないし、中々凄いですよ」
どうやら本気でここがどういう所かを体感する為には、冬の荒海の日に来ないとダメなようだ。(もちろん遠慮します………)
   
今回の取材が今後どのようなカタチで「海師」に登場してくるか、皆さんどうかご期待下さい――――。

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新潟訪問から一週間後、まさかこんな大地震が起ころうとは………。
出会った人々の笑顔が、まだ鮮やかに思い出されます。
被災された皆様の一日も早い復興を心よりお祈りいたします。

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