2012/1/31 火曜日

『鉄の翼』

小森陽一日記 10:58:32

鼓膜が震えた――。いや、鼓膜だけじゃない。全身もだ。ビリビリと電気が流れたように振動する。これがウワサに聞く衝撃波インパルスって奴か……。旧滑走路に立ってF-2の離陸を見つめる。目の前を鉄の翼が唸りを上げて飛び立つ。「ゴーッ!」なんて音じゃない。「ガリガリバリバリギャリギャリ!!!!」。口ではとても真似出来ない。それくらい物凄い音だ。それがアフターバーナー点火時には更に跳ね上がる。オレンジ色に染まったエンジンが爆発的な推力を鉄の翼に与える。目の前を通り過ぎるのはほんの一瞬だ。しかし、身体にぶち当たった衝撃波は、この先決して消える事はないと思う。

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取材は大好きだから色々と出向くのだが、今回の取材はこれまでに体験した数多くの取材の中でも一、ニを争う思い出深いものとなった。航空自衛隊第8航空団の築城基地、いやもう本当に楽しくて仕方がなかった。取材はジャーナリストのI氏と集英社のAくんとで行なった。自衛隊の造詣が深いI氏に段取りを取っていただいたおかげで、F-2やF-15といった戦闘機をパイロットの皆さんに解説していただきながら間近で(コクピットに座る事も出来た!)見る事が出来、被災した松島基地を離れて九州で飛行訓練を行っているブルーインパルスの訓練を基地の屋上から見学し、かつての名機F-86の展示物に乗せていただいたり、整備士の方に戦闘機のエンジンの整備の話を聞いたりなど、帰りには基地発祥のカレーをお土産に頂いたりと、本当に盛り沢山の体験をさせていただいた。

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エンジンが二つありガッチリ体型のF-15、エンジンは一つだけど半端じゃないパワーを持つF-2、どちらも甲乙付け難くスペシャルにカッコイイ。でもなんなんだろうな、この腹の底から溢れる興奮は? ワクワクし過ぎて口がもつれる自分に正直ちょっと驚いた。2012013103.jpg

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それにしても、空自の皆さんの気持ちのいい事! 出会った人達はみんな朗らかに笑う人達ばっかりだった。こんなに笑顔が印象的に映ったのは海保以来かも知れない。いつも空を見上げてるからかな……。今回の最大の収穫はあの笑顔だと思う。 

あーまた行きたい。いつか戦闘機に乗ってみたい。夢みたいな話だけどね。
築城基地の皆さん、ありがとう。お世話になりました!!

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