2013/2/19 火曜日

『秘密会議』

小森陽一日記 16:48:21

日曜日、博多は生憎の雨模様だったが、居酒屋の奥は熱かった。テーブルを囲んだ六人の男達。プロデューサー、ディレクター、編集者、そして警察官。そう、「S 最後の警官」の映像化プロジェクト秘密会議だ。

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……なんて硬い切り出しをしてしまったが、本当はプライベートの集り。でも、やっぱり話題はそこに向かい、色んな話が飛び出してくる事になる。驚いたのは皆さん「S」のワンシーンやセリフをよくご存知な事。このメンバーの中で間違いなく僕の記憶が一番あやふやだった。分からなくて愛想笑いを浮かべた事もあったもんな。

僕は自分の作品を見返すという事をあまりしない。別にそう決めている訳じゃない。ただ、目の前の事に集中しているため、昔を懐かしむ事自体を忘れている。そんな感じだ。でもこれは良い部分と悪い部分がある。良い部分は今言った一点集中。兎に角、目の前の事に全力を傾ける。悪い部分はフック。以前書いた展開の中で使える出来事、一言、アイテムを拾えない。時々担当編集Kに「ちゃんと自分の撒いた種を覚えておいて下さい!」と叱られる。でも、困った事にその種が思い出せない事もしばしばだ……。

僕の書いた作品がこれまで様々なカタチで映像化されてきた。これは本当に嬉しくて、ありがたい事である。ただ、原作側と製作側との関わり方は作品によってまちまちだ。今回の「S」はみんながとても近くなっている。名前を呼び合い、素直に意見を交換し合えるようになっている。例えるならサッカーの日本代表のように。これはいざという時、とてつもない力を発揮する事になる。間違いなく。

本格始動を楽しみにしつつ、今日も目の前の事に集中集中。……でも、たまには見返すのも忘れずに。

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