2008/3/11 火曜日

『お礼行脚』

小森陽一日記 17:22:55

久し振りに3人揃って門司港駅へ降り立った。霙交じりの風の強い午後だった。

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(左手、メッシュの入った強面の担当Kくんと、右手、ちょっとメタボ気味のおとぼけキャラ武村くん)

「海師」の連載終了後、担当のKくん、マンガ家の武村くんと共にお世話になった方々へお礼行脚をしようと話していた。それがようやく実現する運びとなった。向ったのは門司、僕等3人揃っての最初の取材も門司、そして、ボロボロの難波サルベージに集う愛すべき連中が暮らしているのもこの門司である――――。

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最初、第七管区海上保安本部を訪れた。ここには「海猿」時代から続く縁の深~い場所、決して足を向けて眠れないお歴々がいらっしゃる所だ。もちろん「海師」もこの方達なしでは決して描けなかったエピソードが山ほどある。深く感謝の意を表した後で僕はこう切り出した。
「このメンバーでご挨拶出来るのもそうそうないでしょう。だからこの際、サインが欲しいという方はどんどん申し出て下さい!」
まるでサインの押し売りである。であるが、慎み深い海の男達にはこうまで言わないと重い腰を上げないのだ(若干数名、これに当てはまらない人もいるが………)。単行本や色紙やポスターが机の上に積まれる。武ちゃんはガンガン麟太郎の似顔絵を描いていく。久保ミツロウに張り合うかのように持参したカラーペンで色まで付けて描いて行く。出来上がったところで僕がちょこちょこっと名前を書き込み、恭しくお渡しをするのが慣わしだ。
その後、同じく門司にある深田サルベージの九州支店へ。ここには「海師」の立ち上げ当初からバックアップをしてくれたHさんというサルベージマスターがいらっしゃる。しばし想い出話や最近の面白い話をした後、僕は再びサインの押し売りをした。ここでも武ちゃんは大車輪、色紙のみならずTシャツの背中にまで筆をふるったのだった。

だが、サインの嵐はまだ終わらない。福岡市内に戻った後も、合流したFM福岡のアナウンサーNさんのたっての希望で、麟太郎と沢村を小脇に抱えた五十嵐船長のイラストを描き(あの辛口担当Kくんが褒めた傑作!?)、お店にも色紙を描き、更には移動した中洲のバー「ター○○ト」でも、燦然と壁に輝く兵悟のイラストに負けじと目一杯気合を入れて麟太郎を描き、ついには「海師」大ファンのバーテンダーSくんに、真彩と寄り添った似顔絵を描いたのだった。
「おーっ、この麟太郎いいね。連載終わっていい感じで肩の力の抜けたね」
「ほんまにもう!なぜ連載中にこんな感じの画が描けへんのや!!」
僕とKくんにこんな事を言われながら描き切った武ちゃん、あなたはほんとに立派です!!

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