2010/4/6 火曜日

『神様は何処………』

小森陽一日記 15:16:48

4日日曜日夜22時半過ぎ、僕はほんとにいっぱいいっぱいだった―――。

新作の提出期限は明日月曜日お昼、なのにまだ「ヨシ!」という手応えが掴めない。
台詞が見えない、決まらない………。この1週間、ご飯を食べても風呂に入っても布団に潜っても、頭を過ぎるのはその事ばかり。お腹を空かしたクマのように、あっちをウロウロ、こっちをウロウロ………、そんな時、ふと付けっ放しのテレビに目が入った。画面には僕と同じくクマのようにウロウロしている三谷幸喜さんの姿があった………。

『世にも奇妙な物語 20周年スペシャル・春 「台詞の神様」』、三谷さん自身が本人役で、ホテルで缶詰して脚本を書いている自分を演じている。ウロウロうんうんしているのは肝の台詞が思い浮かばないから。そんな時、ルームサービスの女性がやって来る。その女性はなんと柴咲コウそっくり。今、まさに必死で書いているドラマの主人公は柴咲コウ、そして目の前にいる女性は柴咲コウに瓜二つ。三谷さんは彼女に台詞の掛け合いをさせて、閃きという名の「台詞の神様」を降りて来させようとするのだが………。

いやぁメチャクチャ笑った。その時の自分の心情と相まって、お腹を抱えて笑わせてもらいました。確かに「台詞の神様」は来て欲しい時には中々来てくれないものだ。なのにどうでもいい時にやって来たりする。この時の僕にとって三谷さんは、「台詞の神様」ではなくど真ん中の「笑いの神様」、天井人のように光輝いていた。三谷さん、ありがとうございます。あなたのおかけで何かが吹っ切れ、新作に無事最後の「。」を打てました。

(C)CopyRight Yoichi Komori All rights reserved.